総 説
大腸ポリープの病理
永田 耕治
(埼玉医科大学国際医療センター病理診断科)
要旨: 大腸ポリープには組織学的に上皮性の管状腺腫,管状絨毛腺腫,絨毛腺腫,鋸歯状腺腫,広基性鋸歯状腺腫や腺癌,カルチノイドや内分泌癌などの神経内分泌系のほか,炎症性,過誤腫(症候)性,間質性(間葉系),リンパ組織性など,さまざまな種類の病変がみられる。さらに,近年の大腸内視鏡検査の普及と共に病変の新たな知見が得られてきた。過形成性ポリープ,鋸歯状腺腫,広基性鋸歯状腺腫はBRAFやKRAS遺伝子異常との関連に基づいて鋸歯状病変として再編され,fibroblastic polypはperineuriomaと同一の病変であることが明らかにされてきている。今後も症例の蓄積が進むと共に,新たな病変が見出されたり疾患概念が構築されると思われる。そのためにも正しい病理診断を行うことが重要と考えられる。
キーワード: Colon, rectum, polyp, pathology, serrated lesion, KRAS, BRAF
Pathology of colorectal polyps
Koji Nagata
Department of Pathology, Saitama Medical University International Medical Center
(論文受付 2015年3月20日)
(採用決定 2015年4月8日)