症例報告

虫垂炎症状にて発症した劇症型アメーバ性腸炎の1剖検例

森　　大輔^1,2　　明石　道昭¹　　　姉川　　剛³　　　北島　義彦⁴　　　森戸　清人⁴　　　中村　　朱^1,2　　　築地　秀典²　　　山口　健太²　　　小副川晃一²　　　佐藤　清治³

（¹佐賀県医療センター好生館病理部，²同　検査部，³同　消化器外科，⁴独立行政法人国立病院機構東佐賀病院）

要旨: 54歳男性，近医で急性虫垂炎の診断で虫垂切除術が行われた。術後腸炎様症状が持続し，当院に転院となった。保存的加療にて軽快せず術後16日に死亡した。解剖では回腸末端から横行結腸の壊死が高度で，組織で多数のアメーバを認めた。劇症型アメーバ性大腸炎による広範囲腸管壊死と診断した。病理解剖後の再検討にて虫垂にはアメーバ性腸炎に特徴的な壺型の潰瘍と少数のアメーバを認めた。急性虫垂炎の臨床診断で施行された虫垂切除検体で，アメーバが少数であっても壺型潰瘍などの所見でアメーバ性腸炎を疑えば診断可能と思われる。

キーワード: appendix, fulminant amebic colitis, flask-shape ulcer

An autopsy case of fulminant amebic colitis that appeared symptom of appendicitis

Daisuke Mori^1,2, Michiaki Akashi¹, Tsuyoshi Anegawa³, Yoshihiko Kitajima⁴, Kiyoto Morito⁴, Akashi Nakamura^1,2, Hidenori Tsukiji², Kenta Yamaguchi², Koichi Osoegawa², and Seiji Sato³

Divisions of ¹Pathology, ²Clinical Laboratory, and ³Surgery, Saga-Ken Medical Centre Koseikan
⁴Department of Surgery, NHO Higashisaga Hospital

（論文受付　2014年8月14日）

（採用決定　2014年12月24日）