症例報告

卵巣平滑筋腫の2例

秋田　英貴¹　　　鄭　　子文¹　　　野呂瀬朋子²河野　葉子³　　　瀧本　雅文²

（¹公益財団法人東京都保健公社豊島病院検査科病理，²昭和大学医学部病理学講座臨床病理診断学部門，³同　歯学部口腔病態診断学講座口腔病理学部門）

要旨: 卵巣平滑筋腫は稀な疾患で，莢膜細胞腫や線維腫との鑑別が困難なことがある^1-4）。これらの鑑別に筋原性マーカーによる免疫組織化学的検索が有用とされる一方で，これまで平滑筋腫，莢膜細胞腫および線維腫の鑑別における複数の筋原性マーカーの有用性の検討についての報告は認めない。今回，我々は2例の卵巣平滑筋腫を経験し，莢膜細胞腫および線維腫と免疫組織学的検討を行った。我々の結果より筋原性マーカーではHHF-35，Caldesmonが有用であり，さらに α-inhibinを併用することにより平滑筋腫，莢膜細胞腫および線維腫の鑑別が可能であることを示した。

キーワード: Ovary, leiomyoma, thecoma, fibroma, HHF-35

Two cases of ovarian leiomyoma

Hidetaka Akita¹, Ja-Mun Chong¹, Tomoko Norose², Yoko Kohno³, and Masafumi Takimoto²

¹Department of Pathology, Tokyo Metropolitan Health and Medical Corporation Toshima Hospital
²Department of Pathology, Showa University
³Division of Pathology, Department of Oral Diagnostic Sciences, Showa University

（論文受付　2014年8月20日）

（採用決定　2015年1月19日）