症例報告

腎盂に発生した破骨細胞型巨細胞を伴う尿路未分化癌（Osteoclast-rich undifferentiated carcinoma of the urinary tract）の1例

菱山　真広¹　　　青木　直子¹　　　永田真莉乃¹　　　熊井　琢美¹　　　大栗　敬幸¹　　　及川　賢輔¹　　　佐藤　啓介²　　　櫻井　宏治²　　　木村　昭治³　　　小林　博也¹

（¹旭川医科大学病理学講座免疫病理分野，²旭川厚生病院病理部，³旭川医科大学看護学講座）

要旨: 症例は70代女性。肉眼的血尿を主訴に受診し，CTで左腎盂の腫瘍が認められたため腎盂尿管全摘術が施行された。肉眼的には腎盂内へと突出する境界明瞭な4cm大の白色充実性の腫瘤性病変が認められた。組織学的には典型的な浸潤性尿路上皮癌とともに単核の短紡錘形細胞よりなる腫瘍細胞の増生があり，非腫瘍性の破骨細胞型巨細胞が多数散見された。免疫組織化学的に紡錘形単核腫瘍細胞にサイトケラチン（AE1/AE3），EMAなど上皮系のマーカーが陽性となり，破骨細胞型巨細胞を伴う尿路未分化癌と診断した。若干の文献的考察を加え報告する。

キーワード: renal pelvis, undifferentiated carcinoma, osteoclast

A case of Osteoclast-rich undifferentiated carcinoma of the urinary tract

Masahiro Hishiyama¹, Naoko Aoki¹, Marino Nagata¹, Takumi Kumai¹, Takayuki Ohkuri¹, Kensuke Oikawa¹, Keisuke Sato², Hiroharu Sakurai², Shoji Kimura³, and Hiroya Kobayashi¹

¹Department of Pathology and ³School of Nursing, Asahikawa Medical University
²Department of Pathology, Asahikawa Kosei General Hospital

（論文受付　2014年8月28日）

（採用決定　2014年12月24日）