症例報告

梅毒性大動脈炎の1例

濱島　　丈¹　　　石井　陽子¹　　　山本　誠士¹　　　名倉　里織²　　　深原　一晃²　　　芳村　直樹²　　　笹原　正清¹

（¹富山大学医学部病態病理学講座，²同　第一外科講座）

要旨: 症例は 40 代男性。労作時易疲労感と夜間呼吸困難の精査にて大動脈弁輪拡張症と大動脈弁閉鎖不全症が指摘され，その後血清学的に梅毒の現行感染が明らかとなった。Bentall 手術時に採取された上行大動脈壁には，いわゆる“ちりめん”状のしわを認めた。大動脈中膜の栄養血管周囲にリンパ球や形質細胞からなる炎症細胞浸潤巣が認められ，EvG 染色にて中膜の弾性線維および平滑筋細胞の巣状消失を認めた。臨床情報と特徴的な病理所見から梅毒性大動脈炎と診断した。若干の文献的考察を加え報告する。

キーワード: Aorta, aortitis, syphilis

A case of syphilitic aortitis

Takeru Hamashima¹, Yoko Ishi¹, Seiji Yamamoto¹, Saori Nagura², Kazuaki Hukahara², Naoki Yoshimura², and Masakiyo Sasahara¹

Departments of ¹Pathology and ²Thoracic and Cardiovascular Surgery, University of Toyama

（論文受付　2014年8月12日）

（採用決定　2014年12月11日）