症例報告

肺末梢に発生した粘液産生の著明な孤在性乳頭腫の1例

新田　壮平　　　伊藤　潤平　　　長谷川俊之　　　村上　善子　　　佐々木英一　　　細田　和貴　　　谷田部　恭

（愛知県がんセンター中央病院遺伝子病理診断部）

要旨: 症例は52歳女性。咳嗽を主訴に前医を受診し，CTにて肺癌が疑われ当院へ紹介となった。診断と治療目的に腫瘍摘出術が施行された。腫瘍は肺末梢領域に存在し，空洞を伴った病変を形成していた。組織学的には，周囲肺胞域に豊富な粘液産生を伴い線毛円柱上皮および粘液細胞の乳頭状の増殖からなっていた。免疫染色ではp63陽性の二層性を示し，浸潤性粘液癌のマーカーであるHNF4αも陰性であったことから，HE染色所見とあわせて，孤在性腺上皮性乳頭腫と診断した。

キーワード: Lung, Solitary ciliated glandular papilloma, Invasive mucinous adenocarcinoma, Ciliated muconodular papillary tumor

A case of solitary papilloma with mucinous production in the peripheral lung

Sohei Nitta, Junpei Ito, Toshiyuki Hasegawa, Yoshiko Murakami, Eiichi Sasaki, Waki Hosoda, and Yasushi Yatabe

Department of Pathology and Genetics, Aichi Cancer Center Hospital

（論文受付　2014年1月24日）

（採用決定　2014年8月15日）