症例報告

肝破裂を伴った肝原発神経内分泌癌の1剖検例

小島　伊織¹　　　印牧　直人²　　　堀部　良宗¹

（¹社会医療法人宏潤会大同病院病理診断科，²同　消化器内科）

要旨: 肝原発神経内分泌癌の増大に伴い肝破裂をきたし死亡した1剖検例について報告する。症例は70代前半男性で，多発肝腫瘤につき全身検索と経皮的肝生検により肝原発神経内分泌癌と診断したが，入院中に突然の血圧低下と貧血の進行をきたして死亡した。剖検において肝臓右葉表面に亀裂がみられ，割面にはびまん性の多発白色小結節と，左葉に不整形の壊死を伴う腫瘤が認められた。血管内浸潤は高度で，骨髄，肺，噴門部リンパ節に転移が認められた。肝破裂を伴った肝原発神経内分泌腫瘍は過去に1例報告されているのみで極めて稀であり，貴重な症例と考えられた。

キーワード: liver, neuroendocrine carcinoma, rupture, liver biopsy, autopsy

An autopsy case of primary hepatic neuroendocrine carcinoma with liver rupture

Iori Kojima¹, Naoto Kanemaki², and Yoshimune Horibe¹

Departments of ¹Pathology and ²Gastroenterology, Daido Hospital

（論文受付　2014年7月25日）

（採用決定　2014年10月21日）