症例報告

肺動脈弁に発生したcardiac papillary fibroelastoma （CPF） の1例

櫻井　映子¹　　　北川　　諭²　　　浦野　　誠¹　　　中川　　満¹　　　岡部　麻子¹　　　熊澤　文久¹　　　桐山　諭和¹　　　塚本　徹哉¹　　　溝口　良順¹　　　黒田　　誠¹

（¹藤田保健衛生大学医学部病理診断科，²トヨタ記念病院臨床検査科病理）

要旨: 70代前半男性の肺動脈弁に発生したcardiac papillary fibroelastoma （CPF） の1例を報告する。健康診断にて心電図異常を指摘され受診したところ，肺動脈内に2.0×1.5cmの腫瘤を認めた。摘出標本のルーペ像では高度に乳頭状，絨毛状増殖した有茎性の腫瘤であった。組織学的に表面は一層の内皮細胞に覆われ，内皮下にはムコ多糖を含む疎な結合織があり，細胞密度の低い硝子化した芯を持つ三層構造を認めた。組織学的鑑別診断として粘液腫，ランブル疣贅が考慮された。CPFは今後，心エコー技術の発達や，スクリーニングの増加により，遭遇する機会が増える可能性がある疾患と思われる。CPFの臨床病理学的特徴について，文献的考察を加えて報告した。

キーワード: heart, cardiac papillary fibroelastoma, pulmonary valve

A case of cardiac papillary fibroelastoma arising from pulmonary valve

Eiko Sakurai¹, Satoshi Kitagawa², Makoto Urano¹, Mitsuru Nakagawa¹, Asako Okabe¹, Fumihisa Kumazawa¹, Yuka Kiriyama¹, Tetsuya Tsukamoto¹, Yoshikazu Mizoguchi¹, and Makoto Kuroda¹

¹Department of Diagnostic Pathology, Fujita Health University, School of Medicine
²Department of Clinical Laboratory, Toyota Memorial Hospital

（論文受付　2014年6月13日）

（採用決定　2014年10月10日）子