症例報告

病理組織像が診断の契機となったTAFRO症候群の1例

石井　真美^1,2　　　奥野　高裕^1,2　　　福島　裕子¹　　　井上　　健¹

（¹大阪市立総合医療センター病理診断科，²大阪市立大学大学院医学研究科分子病理学）

要旨: TAFRO症候群の1例を経験したので報告する。患者は50代男性。発熱，腹部膨満感，両側頸部リンパ節腫脹などを主訴として近医を受診。原因不明の胸腹水貯留，腎機能低下や血小板減少がみられ当院へ紹介となった。病理組織学的には骨髄は過形成性であり成熟好中球を含む比較的多彩な細胞を認めたが，巨核球が増加し細網線維よりなる微細な線維化を伴っていた。一方，頸部リンパ節生検では萎縮傾向を示すリンパ濾胞と樹枝状の血管増殖を認め，濾胞間には形質細胞が目立っていた。これらはTAFRO症候群と考えられる所見であった。

キーワード: lymph node, bone marrow, TAFRO syndrome, Castleman’s disease, histology

Pathological diagnosis of TAFRO syndrome:a case report

Naomi Ishii^1,2, Takahiro Okuno^1,2, Hiroko Fukushima¹, and Takeshi Inoue¹

¹Department of Pathology, Osaka City General Hospital
²Department of Molecular Pathology, Osaka City University Graduate School of Medicine

（論文受付　2014年6月6日）

（採用決定　2014年9月29日）美