症例報告

子宮内膜の脱分化癌の1例

米原　利栄^1,2　　　山口　辰美²　　　立野　正敏¹　　　柳内　　充³　　　青木　直子⁴

（¹釧路赤十字病院病理診断科，²同　産婦人科，³市立札幌病院病理診断科，⁴旭川医科大学病理学講座）

要旨: 70代女性。下腹部痛を主訴に来院し，内膜細胞診陽性で子宮全摘術を施行した。子宮内腔に突出して増殖する壊死の強い腫瘍を認めたほか，子宮壁を置換するように浸潤増殖する腫瘍を認めた。内腔に突出する腫瘍は扁平上皮癌成分を含む類内膜腺癌であったが，壁に浸潤する大部分の腫瘍は上皮性格の乏しい腫瘍で，汎ケラチンは1%以下の細胞に陽性であり未分化癌であった。分化型成分に未分化成分を合併した脱分化癌に相当すると考えられた。婦人科領域での脱分化癌の報告は少ないが予後不良であり注意すべき疾患である。

キーワード: Endometrium, Dedifferentiated carcinoma, Cytokeratin, Immunohistochemistry

A case of dedifferentiated carcinoma of the endometrium

Toshie Yonehara^1,2, Tatsumi Yamaguchi², Masatoshi Tateno¹, Mitsuru Yanai³, and Naoko Aoki⁴

Departments of ¹Pathology and ²Gynecology and Obstetrics, Kushiro Red Cross Hospital
³Department of Pathology, Sapporo City General Hospital
⁴Department of Pathology, Asahikawa Medical University

（論文受付　2014年6月4日）

（採用決定　2014年8月18日）敏