症例報告

良性葉状腫瘍に発生した浸潤性乳管癌の1例

楊　　　陽¹　　　鈴木　祐¹　　　宇野美惠子¹　　　李　　治平¹　　　阿部江利子¹　　　山内　英子²　　　秋山　　太³

（¹聖路加国際病院病理診断科，²同　乳腺外科，³がん研究会がん研究所病理部）

要旨: 症例は59歳女性。20代に右乳房腫瘤を自覚し，近医で異常なしといわれた。56歳の検診で同腫瘤が指摘され，生検にて悪性を否定できず経過観察したところ，腫瘍が3cmに増大したため生検が施行され，浸潤性乳管癌と診断された。切除標本では，浸潤癌の大部分は葉状腫瘍内に存在していたが，一部では葉状腫瘍周囲の正常乳腺間質に波及していた。癌の乳管内成分は葉状腫瘍内のみにみられることより良性葉状腫瘍から発生した浸潤性乳管癌と診断した。

キーワード: breast, phyllodes tumor, invasive ductal carcinoma

Invasive ductal carcinoma arising in benign phyllodes tumor:a case report

Yang Yang¹, Koyu Suzuki¹, Mieko Uno¹, Eriko Abe¹, Chih-Ping Li¹, Hideko Yamauchi², and Futoshi Akiyama³

¹Department of Pathology and ²Beast Surgery Department, St. Luke's International Hospital
³Division of Pathology, The Cancer Institute of The Japanese Foundation for Cancer Research

（論文受付　2013年11月26日）

（採用決定　2014年8月15日）