症例報告

大動脈原発intimal sarcomaの1例

山口　真希¹　　　海崎　泰治¹　　　浦崎　晃司¹　　　藤野　　晋²

（¹福井県立病院臨床病理科， ²同　循環器内科）

要旨: 症例は60代前半男性。左鎖骨下動脈から下行大動脈におよぶ狭窄に対し，大動脈炎症候群の臨床診断でステント留置術が施行された。その後ステント留置部の再狭窄と両側副腎腫瘍が指摘され，急激な腎不全，心不全の増悪により死亡した。剖検所見では，大動脈壁には内膜の粘液腫状の肥厚があり，内膜肥厚部の内腔側では軽度の異型を示す腫瘍細胞をごく少量認めた。副腎腫瘍はinflammatory myofibroblastic tumor様の組織像を示し，大動脈原発intimal sarcomaおよび副腎転移と診断した。Intimal sarcomaは原発巣と転移巣で異なる組織所見を示すことがあり，診断に注意が必要である。

キーワード: aorta, intimal sarcoma, histology, metastasis, autopsy case

A case of aortic intimal sarcoma

Maki Yamaguchi¹, Yasuharu Kaizaki¹, Koji Urasaki¹, and Susumu Fujino²

Departments of ¹Pathology and ²Cardiology, Fukui Prefectural Hospital

（論文受付　2014年3月28日）

（採用決定　2014年8月12日）