総　　説

Hirschsprung 病とHirschsprung 病類縁疾患の病理組織診断

義岡　孝子¹　　　中澤　温子²

（¹鹿児島大学医学部·歯学部附属病院病理部·病理診断科，²独立行政法人国立成育医療研究センター病理診断部）

要旨: Hirschsprung's disease（HD）およびHirschsprung 病類縁疾患はいずれも新生児期より腸閉塞症状を来す消化器疾患である。HDは消化管の神経節細胞の欠如が原因であるが，HD類縁疾患は神経節細胞の欠如がないにもかかわらず，臨床的にHDとの鑑別が問題となる消化管機能異常症で，分類および診断基準は未だコンセンサスを得ていない。HD，HD類縁疾患ともに，診断·治療方針の決定には正確な病理診断が不可欠である。そのためには，検体採取部位·検体量，染色法が適切であるかの判断と，腸管神経系の発達や各疾患の病態についての理解が必要である。

キーワード: Digestive tract, Hirschsprung’s disease, variant Hirschsprung’s disease, neonate, intestinal obstruction

Pathological diagnosis of Hirschsprung’s disease and allied disorders

Takako Yoshioka¹ and Atsuko Nakazawa²

¹Department of Pathology, Kagoshima University Medical and Dental Hospital
²Department of Pathology, National Center for Child Health and Development

（論文受付　2014年8月27日）

（採用決定　2014年9月26日）