症例報告

腹腔内リンパ節より発生したと考えられた濾胞樹状細胞肉腫の1例

田中　顕之¹　　　山田　正俊^1,4　　　吉田　　裕¹　　　丹野　修宏¹　　　栃木　直文¹　　　小泉　正幸²　　　田中　信孝³　　　鈴木　良夫¹

（¹総合病院国保旭中央病院臨床病理科，²同　血液内科，³同　外科，⁴東京医科大学医学部分子病理学講座）

要旨: 腹腔内リンパ節に発生し，偶然発見された濾胞樹状細胞肉腫（follicular dendritic cell sarcoma，以下FDCS）の1例を経験したので報告する。症例は20代女性。一過性の下痢が主体の胃腸炎症状を主訴に近医受診，超音波検査で左上腹部腫瘤を指摘，当院で開腹切除術が施行された。小網の腫瘤として摘出された検体は被膜を有し，充実性であった。病理組織学的にはhyaline vascular typeのCastleman病の像を呈するリンパ節を背景に，成熟リンパ球を伴う中∼大型紡錘形細胞の束状∼花むしろ状増殖が認められた。腫瘍細胞は免疫組織化学的にCD21およびFDC陽性であり，FDCSと診断した。

キーワード: intra-abdominal lymph node, follicular dendritic cell sarcoma, Castleman’s disease, CD21, FDC

Follicular dendritic cell sarcoma arising from the lymph nodes of the abdominal cavity:a case report

Noriyuki Tanaka¹, Masatoshi Yamada^1,4, Hiroshi Yoshida¹, Nobuhiro Tanno¹, Naobumi Tochigi¹, Masayuki Koizumi², Nobutaka Tanaka³, and Yoshio Suzuki¹

Departments of ¹Pathology, ²Hematology, and ³Surgery, Asahi General Hospital
⁴Department of Molecular Pathology, Tokyo Medical University

（論文受付　2014年1月7日）

（採用決定　2014年7月14日）