症例報告

前縦隔原発の顆粒球肉腫の1例

久松　憲治^1,2　　　山田　鉄也^2,3　　　丸井　　努⁴

（¹岐阜大学大学院医学系研究科腫瘍病理学，²岐阜市民病院病理診断科，³社会医療法人厚生会木沢記念病院病理診断センター，⁴岐阜市民病院呼吸器外科）

要旨: 30代の男性。健診にて前縦隔腫瘤を指摘され，摘出術を受けた。腫瘍は胸腺に浸潤しており，組織学的にはN/C比が高く，結合性を認めない類円形細胞のびまん性増殖からなっていた。免疫組織化学的には腫瘍細胞はCD34，CD43，CD117（c-kit），LCA，bcl-2が陽性，CD10，CD56が一部陽性，MPO，TdTが陰性であった。遺伝子検査（MLLのスプリットシグナル）にて11q23の異常を認めたことから，MLL関連白血病の一型で，M0相当の前縦隔原発顆粒球肉腫と診断した。

キーワード: mediastinum, myeloid sarcoma, immunohistochemistry, 11q23, MLL gene

A case of myeloid sarcoma of the anterior mediastinum

Kenji Hisamatsu^1,2, Tetsuya Yamada^2,3, and Tsutomu Marui⁴

¹Department of Tumor Pathology, Gifu University Guraduate School of Medicine
²Department of Diagnostic Pathology, Gifu Municipal Hospital
³Center for Diagnostic Pathology, Kizawa Memorial Hospital
⁴Department of Respiratory Surgery, Gifu Municipal Hospital

（論文受付　2013年12月24日）

（採用決定　2014年6月30日）