症例報告

乳癌との鑑別が困難であった血管腫の1例;文献的考察を含め

杉山　迪子¹　　　竹内　英樹²　　　杉谷　郁子¹　　　廣川　詠子¹　　　正岡亜希子³　　　安田　政実³　　　清水　道生³　　　長谷部孝裕³　　　大崎　昭彦¹　　　佐伯　俊昭¹

（¹埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科，²埼玉医科大学病院乳腺腫瘍科，³埼玉医科大学国際医療センター病理診断科）

要旨: 症例は30歳女性。左乳房腫瘤を主訴に当科を受診し，触診で左乳房C´領域に20mm大の弾性硬の腫瘤を認めた。腫瘤はマンモグラフィ，超音波で辺縁不整，MRIで造影不良な所見を呈した。画像上は乳癌など悪性も否定できなかったが，針生検にて血管腫疑いの診断となり，腫瘤摘出術が行われ，静脈性血管腫と確定診断された。乳房発生の血管腫は稀であり画像上悪性を否定できない所見を呈することがある。さらに，針生検では血管肉腫を完全に否定できないことから，組織の全体像を把握するためには，腫瘤摘出術が望ましいと考えられた。

キーワード: breast, hemangioma, benign tumor, histology

A case report of breast hemangioma with review of the literatures

Michiko Sugiyama¹, Hideki Takeuchi¹, Ikuko Sugitani¹, Eiko Hirokawa¹, Akiko Masaoka³, Masanori Yasuda³, Michio Shimizu³, Takahiro Hasebe³, Akihiko Osaki¹, and Toshiaki Saeki¹

¹Department of Breast Oncology, Saitama Medical University International Medical Center
²Department of Breast Oncology, Saitama Medical University Hospital
³Department of Pathology, Saitama Medical University International Medical Center

（論文受付　2014年3月28日）

（採用決定　2014年6月26日）