症例報告

病理組織学的にclear cell adenocarcinomaとの鑑別に苦慮したuretheral nephrogenic adenomaの1例

北田　昇平¹　　　鍋島　篤典¹　　　野口　紘嗣¹　　　島尻　正平¹　　　永田祐二郎²　　　赤坂聡一郎²　　　河野　真司³　　　山田　壮亮¹

（¹産業医科大学第2病理学，²九州労災病院門司メディカルセンター泌尿器科，³原三信病院臨床病理部）

要旨: 19歳男性。肉眼的血尿を主訴に初診。腹部骨盤CT，尿細胞診では異常所見は認められなかったが，膜様部尿道に尿道腫瘍を指摘され，切除術が施行された。腫瘍は肉眼的には乳頭状小ポリープ病変であり，組織学的には軽度の炎症細胞浸潤を背景に，円形核と比較的豊富な明るい細胞質を有する立方∼円柱状細胞が，粘膜表層において低乳頭状構造，粘膜固有層において小腺管構造を形成し集族する像が認められた。さらに一部では核の大小不同が目立ち，ホブネイル様を呈しており，clear cell adenocarcinomaの組織像と類似することから悪性を疑う像であった。免疫組織化学染色ではCK7，AMACR陽性を認め，CK20，PSAは陰性であり鑑別には成り得なかった。臨床的に若年男性の微小病変であること，病理組織学的に壊死，核分裂像に乏しいことを総合判断して，Nephrogenic adenomaと最終診断した。

キーワード: urethra, nephrogenic adenoma, AMACR, clear cell adenocarcinoma

A case of uretheral nephrogenic adenoma, difficult to distinguish clear cell adenocarcinoma in pathological diagnosis

Shohei Kitada¹, Atsunori Nabeshima¹, Hirotsugu Noguchi¹, Shohei Shimajiri¹, Yujiro Nagata², Sohichiro Akasaka², Shinji Kono³, and Sohsuke Yamada¹

¹Department of Pathology and Cell Biology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
²Urology, Moji Medical Center
³Division of Clinical Pathology, Harasanshin Hospital

（論文受付　2014年2月10日）

（採用決定　2014年6月17日）