症例報告

散発型と考えられる甲状腺篩（·モルラ）型乳頭癌の1例

三輪有香子　　　中田　聡子　　　木下英里子　　　福田　華子　　　黒瀬　　望　　　福島　万奈　　　湊　　　宏　　　野島　孝之

（金沢医科大学臨床病理学）

要旨: 散発型と考えられる甲状腺篩（·モルラ）型乳頭癌の1例を経験したので，文献的考察を加え報告する。症例は20代後半の女性で，CTで右葉上極に，11mm大の腫瘤を認めた。穿刺吸引細胞診で，腔内にコロイドをみない篩状構造，モルラ様集塊がみられ，切除材料の組織像は，充実索状，乳頭状，管状，篩状，紡錘形細胞と多彩な増殖パターンを示し，モルラ様構造，レンズ様の半透明核がみられた。免疫染色結果は，thyroglobulinがごく一部に陽性，β-cateninが核と細胞質に陽性を示し，本症の診断にいたった。

キーワード: thyroid gland, papillary carcinoma, cribriform-morular variant, thyroid, sporadic

A case report:cribriform（-morular） variant of papillary thyroid carcinoma in a possible sporadic disease

Yukako Miwa, Satoko Nakada, Eriko Kinoshita, Hanako Fukuda, Nozomu Kurose, Mana Fukushima, Hiroshi Minato, and Takayuki Nojima

Department of Pathology and Laboratory Medicine, Kanazawa Medical University

（論文受付　2014年2月7日）

（採用決定　2014年6月17日）