症例報告

結腸亜全摘術に至った特発性腸間膜静脈硬化症の1例

大江倫太郎¹　　　樺澤　崇允¹　　　須藤　　文¹　　　梁　　秀蘭¹　　　加藤　智也¹　　　刑部　光正¹　　　大竹　浩也¹　　　八木　　周²　　　村山最二郎³　　　山川　光徳¹

（¹山形大学医学部病理診断学講座，²同　内科学第二講座，³同　外科学第一講座）

要旨: 50代女性の結腸亜全摘術に至った特発性腸間膜静脈硬化症idiopathic mesenteric phlebosclerosis（IMP）の1例を経験したので報告する。10年以上の梔子柏皮湯(ししはくひとう)内服歴と特徴的な画像所見を呈する典型的なIMP症例であったが，症状の増悪と上行結腸の狭窄により，結腸亜全摘術が施行された。摘出検体における病理学的な検討と文献学的な考察から，IMPを疑い結腸粘膜を生検する場合は，盲腸から上行結腸の病変の強い箇所から検体を採取することがより正確な病理診断を行う上で必要と思われた。

キーワード: colon, idiopathic mesenteric phlebosclerosis, venous calcification, fibrous degeneration, sansisi

Subtotal colectomy for idiopathic mesenteric phlebosclerosis:a case report

Rintaro Ohe¹, Takanobu Kabasawa¹, Aya Suto¹, Suran Yang¹, Tomoya Kato¹, Mitsumasa Osakabe¹, Hiroya Ohtake¹, Makoto Yagi², Saijiro Murayama³, and Mitsunori Yamakawa¹

Departments of ¹Pathological Diagnostics, ²Gastroenterology, and ³Gastroenterological and General Surgery, Yamagata University Faculty of Medicine

（論文受付　2014年3月28日）

（採用決定　2014年6月13日）