症例報告

脳転移でsubtypeが判明した膀胱微小乳頭型尿路上皮癌の1例

大荷　澄江　　　杉谷　雅彦　　　渕之上　史　　　生沼　利倫　　　根本　則道

（日本大学医学部病態病理学系病理学分野）

要旨: 症例は59歳男性。主訴は肉眼的血尿。膀胱腫瘍摘出検体にて間質浸潤を伴う尿路上皮癌，Grade 3と診断された。化学療法と膀胱全摘術がなされた。その後，脳腫瘤が出現し，微小乳頭型増殖が顕著な像で腺癌が疑われた。膀胱以外の他臓器には原発を疑う所見は認められなかった。retrospectiveな検討では初回膀胱検体のごく一部に微小乳頭型増殖がみられ，脳腫瘤は膀胱原発尿路上皮癌の転移と診断した。
　微小乳頭型尿路上皮癌は稀で，悪性度が高く，予後不良であると報告されている。尿路上皮癌との混在が多く，注意深い検索と臨床への適切な報告が重要と考えられる。

キーワード: 膀胱，微小乳頭型癌

Metastatic micropapillary variant of urothelial carcinoma of the bladder in brain ─ a case report ─

Sumie Ohni, Masahiko Sugitani, Fumi Fuchinoue, Toshinori Oinuma, and Norimichi Nemoto

Department of the Pathology, Nihon University School of Medicine

（論文受付　2013年12月13日）

（採用決定　2014年5月20日）