総　　説

Perivascular Epithelioid Cell Tumor （PEComa）の最近の知見─特にTFE3陽性を示す腫瘍について─

田中　水緒　　　田中　祐吉

（神奈川県立こども医療センター病理診断科）

要旨: Perivascular epithelioid cell tumor （PEComa）は組織学的·免疫組織化学的に共通の特徴を持つ間葉系の腫瘍群であるが，その一部が免疫組織化学的にTFE3陽性で，Xp11.2転座を伴うことが明らかにされた。TFE3陽性PEComaは，組織学的にほぼ上皮様腫瘍細胞からのみなり，免疫組織化学的に筋系マーカーの発現に乏しいなどの特徴を持ち，確立した疾患概念として認識されてきている。また，TFE3陽性PEComa は一部の腎癌や胞巣状軟部肉腫など他のTFE3陽性腫瘍とともに，MiT family tumorに属すると考える傾向がある。今後はさらに細胞遺伝学的背景および他のMiT family tumorとの関連を検討し，予後を含めた臨床的特徴の確立が課題である。

キーワード: Perivascular epithelioid cell tumor （PEComa）, TFE3陽性腫瘍, TFE3関連融合遺伝子, MiT family tumor

Recent advances in pathology and genetics of perivascular epithelioid cell tumor (PEComa) with emphasis on TFE3-positive PEComa

Mio Tanaka and Yukichi Tanaka

Kanagawa Children's Medical Center, Department of Diagnostic Pathology

（論文受付　2014年7月4日）

（採用決定　2014年7月11日）