症例報告

腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の2例

蔭山　慎平¹　　　岸田由起子²　　　鈴木　丈夫³　　　秦　　宏樹⁴　　　田村　浩一²

（¹徳島大学医学部医学科，²東京逓信病院病理診断科，³同　放射線科，⁴同　婦人科）

要旨: 表在性漿液性乳頭状腺癌は卵巣表面または腹膜原発の悪性腫瘍であり，近年，婦人科悪性腫瘍のうちに占める割合が増加している。われわれは閉経後の女性に発症した腹膜原発漿液性乳頭状腺癌の2例を経験した。いずれも画像所見にて正常大の卵巣と腹水貯留·腹膜転移が確認され，本疾患が疑われて手術となった。組織所見では2例とも卵巣実質への腫瘍細胞浸潤が認められたが，いずれも表層病変と連続する5×5mm以内のものであったことから診断を確定した。

キーワード: ovary, primary peritoneal serous papillary carcinoma, epithelial ovarian carcinoma, E-cadherin, β-catenin

Two cases of primary peritoneal serous papillary carcinoma

Shimpei Kageyama¹, Yukiko Kishida², Takeo Suzuki³, Hiroki Hata⁴, and Koichi Tamura²

¹Faculty of Medicine, Tokushima University
Departments of ²Surgical Pathology, ³Radiology, and ⁴Gynecology, Tokyo Teishin Hospital

（論文受付　2013年9月30日）

（採用決定　2014年2月3日）