症例報告

胆管腔内にポリープ状発育を呈した肝細胞癌の1例

中野　麗香¹　　　宮坂　知佳¹　　　大江　知里¹　　　保坂　直樹²　　　鷹巣　晃昌³　　　坂井田紀子¹　　　植村　芳子¹

（¹関西医科大学附属枚方病院病理科，²関西医科大学附属香里病院病理科，³兵庫県立尼崎病院病理診断科）

要旨: 肝実質と連続性がなく胆管腔内のみにポリープ状に発育した稀な肝細胞癌を経験した。
　症例は60代前半男性。閉塞性黄疸が出現し，各種画像検査にて左肝管由来の肝門部胆管癌と診断され，肝左葉·尾状葉切除術が施行された。腫瘍は左肝管腔内に存在する径約20mm大のポリープ状病変で，免疫組織学的検討も加え，中分化型肝細胞癌と診断した。腫瘍は胆管壁と線維性の茎で連続していたが胆管上皮細胞との連続性はなく，肝臓実質と連続する箇所もみられず，摘出された肝臓においてポリープ状腫瘍以外に腫瘍性病変はみられなかった。

キーワード: bile duct, hepatocellular carcinoma, intrabiliary pedunculated tumor

Hepatocellular carcinoma presenting as a polypoid lesion in the bile duct:a case report

Yorika Nakano¹, Chika Miyasaka¹, Chisato Ohe¹, Naoki Hosaka², Kosho Takasu³, Noriko Sakaida¹, and Yoshiko Uemura¹

¹Departments of Pathology, Kansai Medical University Hirakata Hospital
²Department of Pathology, Kansai Medical University Kori Hospital
³Department of Surgical Pathology, Hyogo Prefectural Amagasaki Hospital

（論文受付　2014年1月16日）

（採用決定　2014年3月18日）