症例報告

未分化癌からなる壁在結節を伴う卵巣粘液性腫瘍の1例

村瀬　陽太¹　　　滝　　哲郎¹　　　土山　真里¹　　　白木　之浩³　　　鈴木　康彦²　　　小野　謙三¹

（¹公立陶生病院病理部，²同　検査部，³名古屋大学大学院医学系研究科病態病理学，腫瘍病理学/分子病理学分野）

要旨: 42歳女性。右卵巣に30cmを超える嚢胞状腫瘍を認め，内腔には結節状隆起と多房性部位を伴っていた。結節隆起部は高度な細胞異型を伴う好酸性胞体を有する多形性異型細胞からなり，未分化癌と判定された。嚢腫と結節の境界部では嚢胞腺癌の成分が観察され，未分化癌への移行像と考えられた。壁在結節の良悪判定は切除後の予後を予測する上で重要である。本症例をふまえて結節の発生様式や組織学的予後について，文献的考察を加えて報告する。

キーワード: ovary, mucinous cystadenocarcinoma, mural nodule, anaplastic carcinoma

A case of mucinous cystadenocarcinoma of ovary with mural nodule of anaplastic carcinoma

Yota Murase¹, Tetsuro Taki¹, Mari Tsuchiyama¹, Yukihiro Shiraki³, Yasuhiko Suzuki², and Kenzo Ono¹

¹Department of Pathology and ²Central Clinical Laboratories, Tosei General Hospital
³Nagoya University Graduate School of Medicine Department of Pathology, Tumor Pathology

（論文受付　2013年9月24日）

（採用決定　2014年2月13日）