症例報告

前立腺原発の基底細胞癌の1例

大月　聡明^1,2　　　加藤　晴朗³　　　保坂　典子²

（¹信州大学医学部付属病院臨床検査部，²長野市民病院病理診断科，³同　泌尿器科）

要旨: 症例は50代男性。排尿困難，血尿の自覚があり，CT検査で膀胱浸潤を伴う前立腺腫瘍が疑われた。血清中のPSAは基準範囲内であった。前立腺針生検を施行され，組織学的にadenoid cystic pattern，nest patternの増生像を示す基底細胞様の腫瘍細胞が確認された。免疫組織化学的にこれらの腫瘍細胞は，基底細胞マーカー（34βE12，p63）陽性，PSA陰性であった。組織学的に浸潤像を確認でき，Ki-67陽性率が平均30%と高率であることから，前立腺原発の基底細胞癌と診断した。基底細胞癌の診断では，まず基底細胞過形成との鑑別，次に予後不良群か否かを鑑別することが求められる。

キーワード: prostate, basal cell carcinoma（BCC）, immunohistochemistry, radiochemotherapy

A case of basal cell carcinoma of the prostate

Toshiaki Otsuki^1,2, Haruaki Kato³, and Noriko Hosaka²

¹Department of Laboratory Medicine, Shinshu University Hospital
Departments of ²Pathology and ³Urology, Nagano Municipal Hospital

（論文受付　2013年11月26日）

（採用決定　2014年2月13日）