症例報告

多発性Calcifying Tumor of the Pleuraの1例

中川　　満¹　　　浦野　　誠¹　　　芦刈　周平²　　　櫻井　映子¹　　　岡部　麻子¹　　　熊澤　文久¹　　　桐山　諭和¹　　　塚本　徹哉¹　　　栃井　祥子²　　　須田　　隆²　　　溝口　良順¹　　　黒田　　誠¹

（¹藤田保健衛生大学医学部病理診断科，²同　心臓血管外科·呼吸器外科）

要旨: 30代女性の胸膜に多発したcalcifying tumor of the pleuraの1例を経験したので報告する。2年前に健診で胸部異常陰影を指摘され，生検を施行するも確定診断がつかず経過観察をしていたが，その後，胸痛と右胸水貯留，胸膜病変の増大を認めたため，腫瘍の完全切除が施行された。組織像は密な硝子化と線維増生を広範囲に認め，リンパ球および形質細胞による炎症細胞浸潤や砂粒体様石灰化を伴っていた。本例の組織像ならびに免疫組織化学的所見は本疾患に典型的で，その診断においてosteopontinによる免疫染色が有用であった。本疾患の石灰化や線維増生の成因や鑑別疾患，他の部位に発症するcalcifying fibrous tumorとの異同について文献的考察を加えた。

キーワード: pleura, calcifying tumor, immunohistochemistry, multiple, osteopontin

A case of multiple calcifying tumor of the pleura

Mitsuru Nakagawa¹, Makoto Urano¹, Shuhei Ashikari², Eiko Sakurai¹, Asako Okabe¹, Fumihisa Kumazawa¹, Yuka Kiriyama¹, Tetsuya Tsukamoto¹, Sachiko Tochii², Takashi Suda², Yoshikazu Mizoguchi¹, and Makoto Kuroda¹

¹Department of Diagnostic Pathology and ²Division of Cardiothoracic Surgery, Fujita Health University, School of Medicine

（論文受付　2013年10月3日）

（採用決定　2014年1月17日）