症例報告

卵巣門部に発生した動静脈血管腫の1例

野田　博子¹　　　安田　政実²　　　鷲見　公太¹　　　亀田　陽一¹　　　横瀬　智之¹　　　松橋　智彦³　　　吉田　哲雄⁴　　　亀田　典章⁵

（¹神奈川県立がんセンター病理診断科，²埼玉医科大学国際医療センター病理診断科，³神奈川県立がんセンター婦人科，⁴同　放射線診断科，⁵（株）千葉細胞病理診断センター）

要旨: 卵巣血管腫は過去の報告が50例程度の非常に稀な良性腫瘍であり，その大部分が海綿状血管腫あるいは毛細血管腫の組織型を示す。今回我々は，動脈と静脈および奇形的血管の集簇から成り，多量の脂肪織が混在する動静脈血管腫が卵巣門部に発生した症例を経験した。卵巣原発動静脈血管腫は過去に報告例が存在しない。ゆえに，2013年3月に発表された本邦初の血管腫·血管奇形診療ガイドラインとの整合性について若干の考察を加え，これを報告する。

キーワード: ovary, arteriovenous hemangioma, tumor, arteriovenous malformation, histology

A case report of ovarian arteriovenous hemangioma

Hiroko Noda¹, Masanori Yasuda², Kota Washimi¹, Youichi Kameda¹, Tomoyuki Yokose¹,Tomohiko Matuhashi³, Tetuo Yoshida⁴, and Noriaki Kameda⁵

¹Department of Pathology, Kanagawa Cancer Center （KCC）
²Department of Pathology, Saitama Medical University International Medical Center
Departments of ³Gynecology and ⁴Radiology, KCC
⁵Chiba Cytopathology Diagnostic Center

（論文受付　2013年9月30日）

（採用決定　2014年1月17日）