症例報告

回腸原発明細胞肉腫の1例

辻　　洋美¹　　　城光寺　龍²　　　辻本　正彦³　　　玉井　皓巳⁴　　　安藤　純実⁵　　　八幡　陽子⁵　　　堀　由美子¹　　　森井　英一¹

（¹大阪大学医学部附属病院病理部，²日生病院病理診断科，³大阪警察病院病理診断科，⁴同　外科，⁵同　皮膚科）

要旨: 50代女性。回腸の約8cm大の腫瘍に対し，右半結腸および回腸部分切除を施行された。組織学的には紡錐形∼多形性の腫瘍細胞が充実性に増殖しており，細胞質内に種々の程度にメラニン顆粒を認めた。免疫組織学的に腫瘍細胞はS-100蛋白陽性，MelanA陽性，HMB45陽性で，悪性黒色腫と明細胞肉腫が鑑別にあがった。全身の検索を行ったが他に原発巣と考えられる病変が無く，EWSR1-ATF1の遺伝子再構成を認めたことから，回腸原発の明細胞肉腫と診断した。

キーワード: ileum, clear cell sarcoma, EWSR/ATF-1

A primary ileal clear cell sarcoma;a case report

Hiromi Tsuji¹, Ryu Jokoji², Masahiko Tsujimoto³, Koki Tamai⁴, Yoshimi Ando⁵, Yoko Yahata⁵, Yumiko Hori¹, and Eichi Morii¹

¹Department of Pathology, Osaka University Hospital
²Department of Pathology, Nissei Hospital
Departments of ³Pathology, ⁴Surgery, and ⁵Dermatology, Osaka Police Hospital

（論文受付　2013年9月3日）

（採用決定　2014年1月7日）美