症例報告

豊富な粘液様基質を伴った脊索腫様髄膜腫の1例

山口絵理子¹　　　佐々木　惇²　　　本間　　琢2　　　清水　道生¹　　　安田　政実¹

（¹埼玉医科大学国際医療センター病理診断科，²埼玉医科大学病理学）

要旨: 今回我々は脊索腫様髄膜腫の1例を経験したので報告する。症例は70代後半男性。2年前から軽度の神経脱落症状を自覚していた。頭部MRI検査にて髄膜腫と診断され，当院で開頭腫瘍切除術が施行された。組織学的には，粘液性基質を背景とし上皮様の腫瘍細胞の索状や小塊状の増殖する領域と，whorl状配列が主体の通常の髄膜腫様領域がみられ，両者は比較的境界明瞭な区域性に存在した。HE像で鑑別にあがる粘液を有する脳腫瘍は免疫組織化学的に否定され，また超微形態所見を併せ，脊索腫様髄膜腫と診断した。脊索腫様髄膜腫は通常の髄膜腫に比較し再発率が高く侵襲性増殖をとることが多くWHO grade IIとされている。髄膜腫は予後の異なる様々な組織型を示すため，亜型の診断に注意を要すると考えられた。

キーワード: brain, chordoid meningioma, transitional meningioma, ultrastructure

A case of chordoid meningioma with abundant myxoid matrix

Eriko Yamaguchi¹, Atsushi Sasaki², Taku Honma², Michio Shimizu¹, and Masanori Yasuda1

¹Department of Pathology, Saitama Medical University International Medical Center
²Department of Pathology, Saitama Medical University

（論文受付　2013年4月18日）

（採用決定　2013年9月24日）