症例報告

小腸に発生した石灰化線維性腫瘍の1例

竹治みゆき¹　　　二宮　恵子²　　　木藤　克己¹　　　古谷　敬三²　　　前田　智治¹　　　吉山　広嗣³

（¹愛媛県立中央病院病理診断部，²同　検査部，³同　消化器外科）

要旨: 症例は30代の女性。小腸腫瘍による腸重積疑いで小腸部分切除術が施行された。腸管内腔に突出した径2cmの亜有茎性ポリープ病変で，組織学的には豊富な硝子膠原線維を背景に疎な線維芽細胞様細胞と炎症細胞浸潤，砂粒体様の石灰化小体が認められた。免疫組織化学的に紡錘形細胞はvimentin陽性，CD34，CD117，ALK-1は陰性で，MIB-1陽性率は3%未満であった。アミロイド沈着は認められなかった。以上より石灰化線維性腫瘍と診断した。小腸発生例は極めて稀であり，他病変との鑑別が重要である。

キーワード: small intestine, calcifying fibrous tumor, inflammatory fibroid polyp

Calcifying fibrous tumor of the small intestine:a case report

Miyuki Takeji¹, Keiko Ninomiya², Katsumi Kito¹, Keizo Furuya², Toshiharu Maeda¹, and Hirotsugu Yoshiyama³

Departments of
¹Pathology, ²Clinical Laboratory, and ³Digestive Surgery, Ehime Prefectural Central Hospital

（論文受付　2013年5月31日）

（採用決定　2013年8月27日）