総説

膵腫瘍の病理診断
─日頃の病理診断で求められるもの─

大池　信之

（昭和大学医学部病理学講座病理学部門）

要旨: 膵腫瘍切除標本の病理診断では組織型や病期分類のほかに，しばしば臨床画像に対応した病理所見が求められる。そのためには切り出し時の肉眼的観察が大切であり，例えば膵管や胆管の造影画像との対比が議論になる症例では，病変と膵管や胆管との関係を切り出しの段階から明らかにしておくことがポイントになる。本稿では最近発表された膵管内乳頭粘液性腫瘍（intraductal papillary mucinous neoplasm）の国際診療ガイドラインに記載された病理学的事項についても触れているが，そこでも肉眼的観察の重要性が強調される。

キーワード: pancreas, ductal carcinoma, intraductal papillary mucinous neoplasm, mucinous cystic neoplasm, serous cystic neoplasm

Pathological diagnosis of pancreatic tumors

Nobuyuki Ohike

Department of Pathology, Showa University School of Medicine

（論文受付　2013年9月18日）

（採用決定　2013年10月10日）