症例報告

卵巣原発横紋筋肉腫の1例

齊藤　良玄^1,2　　　山口　辰美¹　　　立野　正敏²　　　柳内　　充³　　　青木　直子⁴

（¹釧路赤十字病院産婦人科，²同　病理診断科，³市立札幌病院病理診断科， ⁴旭川医科大学病理学講座）

要旨: 30代女性。腹部膨満を主訴に来院し，卵巣腫瘍の診断で手術し，巨大な嚢胞性病変のほか充実性腫瘍を認めた。組織では紡錘形細胞がherring bone patternを示す部分に加え，粘液腫状の浮腫の強い部分がみられた。腫瘍細胞はMasson三重染色で胞体が赤色に染まり，横紋筋芽細胞と考えられる細胞を少数認めた。免疫組織化学ではMyoD1，myogenin，vimentin，desminがびまん性に強陽性で，myosin，myoglobinが一部の細胞に陽性であった。組織所見と合わせて横紋筋肉腫と診断した。卵巣原発横紋筋肉腫は稀であり，多くは奇形腫やMalignant Mixed Mullerian tumor （MMMT）に合併すると報告されている。多少の文献的考察を加えて報告した。

キーワード: ovary, rhabdomyosarcoma, immunohistochemistry, MyoD1, myogenin

A case of primary ovarian rhabdomyosarcoma

Yoshihiro Saito^1,2, Tatsumi Yamaguchi¹, Masatoshi Tateno², Mitsuru Yanai³, and Naoko Aoki⁴

Departments of ¹Obstetrics and Gynecology and ²Pathology, Kushiro Red Cross Hospital
³Department of Pathology, Sapporo City General Hospital
⁴Department of Pathology, Asahikawa Medical University

（論文受付　2013年1月25日）

（採用決定　2013年7月19日）