症例報告

肺転移を契機に発見されたラブドイド細胞を伴う腎細胞癌の1例

葛城　慎也¹　　　西田　陽登²　　　荒金　茂樹²　　　加島　健司²　　　駄阿　　勉²　　　佐藤　吉泰³　　　山崎　六志³　　　佐藤　文憲³　　　横山　繁生²

（¹大分大学医学部医学科，²同　診断病理学講座，³同　腎泌尿器科学講座）

要旨: 症例は60歳男性で，健診時に両肺の多発結節影を指摘された。その後の精査で右腎腫瘍を認め，摘出術が施行された。摘出腫瘍は最大径8.5cmの壊死を伴う辺縁不整な黄色調·充実性腫瘍であった。組織学的に，腫瘍の約60%はラブドイド細胞から成り，20%が明細胞型腎細胞癌，20%が壊死組織であった。免疫染色では，明細胞とラブドイド細胞はcytokeratin陽性で，後者はvimentinにも陽性であった。ラブドイド細胞は予後不良因子であり，存在する場合はその占有率と共に報告書に付記すべき所見である。

キーワード: kidney, renal cell carcinoma, rhabdoid cell, adult

A case of rhabdoid cell-predominant renal cell carcinoma presented as pulmonary metastases

Shin-ya Katsuragi¹, Haruto Nishida², Motoki Arakane², Kenji Kashima², Tsutomu Daa², Yoshiyasu Satoh³, Mutsushi Yamazaki³, Fuminori Sato³, and Shigeo Yokoyama²

¹Faculty of Medicine, Oita University
Departments of ²Diagnostic Pathology and ³Urology, Faculty of Medicine, Oita University

（論文受付　2013年3月18日）

（採用決定　2013年6月18日）