症例報告

卵巣癌肉腫の1例

石井　脩平¹　　　酒田　美香¹　　　吉田　和広¹　　　相野谷修治¹　　　木口　英子²　　　平林　大輔³　　　森住　佑子³　　　塩津　英美³

（¹東京北社会保険病院病理検査室，²同　病理診断科，³同　産婦人科）

要旨: 卵巣原発の明細胞性癌肉腫を経験した。症例は70歳女性，腹痛を主訴に当院を受診し，卵巣癌として，子宮·両側付属器全摘出術，骨盤内リンパ節郭清術を施行した。摘出された左卵巣腫瘍は組織学的に明細胞腺癌を主体とし，極小範囲に間質性腫瘍の成分を有していた。術後化学療法の奏功なく再発し，腹腔内腫瘍摘出術による病理学的検索で癌肉腫と診断した。肉腫成分は未分化卵巣肉腫で，明細胞腺癌および未分化卵巣肉腫ともにKi-67が高率陽性，K-ras遺伝子変異は認めなかった。急速な腫瘍増殖により，全経過8ケ月で永眠された。

キーワード: ovary, carcinosarcoma, clear cell carcinoma, undifferentiated ovarian sarcoma

A case of ovarian carcinosarcoma

Shuhei Ishii¹, Mika Sakata¹, Kazuhiro Yoshida¹, Shuji Ainoya¹, Hideko Kiguchi², Daisuke Hirabayashi³, Yuko Morizumi³, and Hidemi Shiotsu³

Departments of ¹Pathology Laboratory, ²Diagnostic Pathology, and ³Obstetrics and Gynecology, Tokyo-Kita Social Insurance Hospital

（論文受付　2012年12月4日）

（採用決定　2013年5月28日）