症例報告

腟原発悪性黒色腫の1例

梅　　靖¹　　　伊東　正博¹　　　三原　裕美¹　　　成毛　有紀¹　　　八並　直子²　　　山下　　洋²　　　安日　一郎²

（¹国立病院機構長崎医療センター臨床検査科，²同　産婦人科）

要旨: 症例は44歳女性。不正性器出血を主訴に近医を受診し，腟内を占拠する腫瘤病変を指摘され当院へ紹介された。腟壁に灰白色の有茎性腫瘤が存在しており，擦過細胞診では胞体に茶褐色の顆粒を有する，核細胞質比の大きい類円形の異型細胞が認められ，生検組織では核小体の目立つ類円形細胞がシート状に，あるいは核小体明瞭な紡錘形細胞が錯綜して増殖していた。一部の腫瘍細胞に微小な茶褐色顆粒が観察され，免疫組織化学でMelan-A，HMB-45ともに強く発現しており悪性黒色腫と診断した。腟以外に腫瘍は認められず，腟原発悪性黒色腫と判断して腫瘍切除に加え術後補助療法を施行し，術後18ケ月で生存を確認している。

キーワード: vagina, malignant melanoma, melanin, immunohistochemistry

Primary vaginal malignant melanoma:a case report

Yasushi Umezaki¹, Masahiro Ito¹, Yumi Mihara¹, Yuki Naruke¹, Naoko Yatsunami², Hiroshi Yamashita², and Ichiro Yasuhi²

Departments of ¹Pathology and ²Obstetrics and Gynecology, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center

（論文受付　2012年12月10日）

（採用決定　2013年4月10日）