症例報告

肺転移を生じた軟部原発malignant mixed tumor/ myoepitheliomaの1例

橋　祐介¹　　　孝橋　賢一¹　　　山元　英崇¹　　　松田　秀一²　　　岩本　幸英²　　　小田　義直¹

（¹九州大学大学院形態機能病理，²同　整形外科）

要旨: 症例は33歳女性。左膝部の疼痛の精査で，左膝窩部に腫瘍を指摘された。臨床的に悪性軟部腫瘍が疑われ，腫瘍広範切除が施行された。組織学的には円形，卵円形の異型細胞の増殖を認めた。滑膜肉腫をはじめ，その他の軟部肉腫が鑑別に挙げられたが確定診断は困難であった。その後局所再発は認めなかったが，術11年後に右肺の腫瘍を認め切除された。以前切除された左膝窩部腫瘍と比較検討し，病理診断はmalignant mixed tumor/ myoepithelioma と診断された。術後肺転移を伴った，非常に稀な軟部組織原発のmalignant mixed tumor/ myoepitheliomaの1例を経験したので報告する。

キーワード: soft tissue, malignant mixed tumor, malignant myoepithelioma, rarely metastasizing

Malignant mixed tumor/myoepithelioma of the soft tissue;a case report

Yusuke Takahashi¹, Kenichi Kohashi¹, Hidetaka Yamamoto¹, Shuichi Matsuda², Yukihide Iwamoto², and Yoshinao Oda¹

Departments of ¹Anatomic Pathology and ²Orthopedic Surgery, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University

（論文受付　2013年1月21日）

（採用決定　2013年3月29日）