症例報告

陰嚢内に生じた粘液型脂肪肉腫の1例

新野　大介¹　　　山元　英崇²　　　宮原　　司³　　　園田　美穂⁴　　　佐土原順子⁵　　　小田　義直²　　　大島　孝一¹

（¹久留米大学医学部病理学，²九州大学大学院医学研究院病態医学部門形態機能病理学，³高邦会高木病院泌尿器科，⁴同　病理検査室，⁵済生会大牟田病院放射線科）

要旨: 症例は40代後半，男性。陰嚢内に限局する3cm大の充実性腫瘍。組織像は典型的な粘液型脂肪肉腫であったが，後腹膜や陰嚢内に発生する脂肪肉腫のほとんどが高分化型脂肪肉腫であり，高分化型や脱分化型脂肪肉腫からのmyxoid changeを鑑別する必要があった。腫瘍細胞はCDK4陽性，MDM2陰性，RT-PCRによりTLS-CHOP type2融合遺伝・qを検出したことより陰嚢内に発生した粘液型脂肪肉腫と診断した。発生部位が極めて珍しく，症例を集積し腫瘍発生起源や治療反応性などを解析する必要がある。

キーワード: scrotum, myxoid liposarcoma, TLS-CHOP

A case of myxoid liposarcoma in the scrotum

Daisuke Niino¹, Hidetaka Yamamoto², Tsukasa Miyahara³, Miho Sonoda⁴, Junko Sadohara⁵, Yoshinao Oda², and Koichi Ohshima¹

¹Department of Pathology, School of Medicine, Kurume University ²Department of Anatomic Pathology, Graduate School of Medical Sciences, Kyusyu University
Departments of ³Urology and ⁴Pathology, Takagi Hospital
⁵Department of Radiology, Saiseikai Ohmuta Hospital

（論文受付　2012年9月18日）

（採用決定　2013年3月29日）