症例報告

直腸に発生した潰瘍型マントル細胞リンパ腫の1例

安松　良子¹　　　湧谷　　純¹　　　箕畑　順也²　　　吉田　　彰²　　　石川　靖二²

（¹神戸協同病院病理診断科，²同　外科）

要旨: マントル細胞リンパ腫は消化管に浸潤しやすく，十二指腸より肛門側の腸管では多発ポリープ型の肉眼像を示すことが多い悪性リンパ腫である。我々は，消化管のなかでも発生頻度の低い直腸に発生し，かつ潰瘍型の肉眼像を示したマントル細胞リンパ腫の1例を経験したので報告する。病変は組織学的に本疾患に特徴的な像を示し，免疫組織学的にcyclin D1が強陽性を示したことから確定診断とした。本例は組織学的には本疾患として典型的であったが発生部位と肉眼像という点で極めて稀な症例であった。

キーワード: rectum, mantle cell lymphoma, ulcer, multiple lymphoid polyposis, cyclin D1

A case of mantle cell lymphoma as rectal ulcer lesion

Ryoko Yasumatsu¹, Jun Wakuya¹, Junya Minohata², Akira Yoshida², and Yasuji Ishikawa²

Departments of ¹Pathological Diagnosis and ²Surgery, Kobe Kyodo Hospital

（論文受付　2012年10月5日）

（採用決定　2013年2月13日）