症例報告

足背部に発生したporocarcinoma in situの1例

山田　侑子¹　　　泉　　美貴³　　　加藤　生真¹　　　大原　國章²　　　船田　信顕¹　　　吉野　公二²　　　比島　恒和¹

（¹がん･感染症センター都立駒込病院病理科，²同　皮膚科·皮膚腫瘍科，³東京医科大学医学教育学講座）

要旨: 症例は59歳男性。病変は足背部に発生し，肉眼的には紅色顆粒状局面と黒褐色結節状局面が接していた。組織学的には紅色顆粒状局面は汗孔腫，黒褐色結節状局面はporocarcinoma in situであり，両者の間には移行像がみられた。本例の組織所見から，汗孔腫が悪性転化する場合には，汗孔腫が表皮内で部分的に悪性転化したporocarcinoma in situの病態を経て，浸潤性の汗孔癌へと進展する経路の存在が推測された。Porocarcinoma in situの報告例は稀であり，文献的考察を加えて報告する。

キーワード: porocarcinoma in situ, poroma, melanocyte colonization

A case of porocarcinoma in situ of the dorsum of the foot

Yuko Yamada¹, Miki Izumi³, Ikuma Kato¹, Kuniaki Ohara², Nobuaki Funata¹, Koji Yoshino², and Tsunekazu Hishima¹

Departments of ¹Pathology and ²Dermatology and DermatooncologyTokyo Metropolitan Cancer and Infectious Disease Center Komagome Hospital
³Department of Medical Education, Tokyo Medical University

（論文受付　2013年1月21日）

（採用決定　2013年4月10日）