症例報告

広範な粘膜内増殖を示した腸管症関連T細胞リンパ腫II型の1例

菊間 幹太   山田  梢   二村  聡   竹下 盛重

(福岡大学医学部病理学講座)

要旨: 広範な粘膜内増殖および腸管症様病変を伴う腸管症関連T細胞リンパ腫II型の1例を経験したので報告する。主腫瘤部は腸管壁全層性に腫瘍を認め,辺縁の腫大した輪状襞には腫瘍細胞の粘膜内増殖を示した。一部の粘膜には丈が低くなった萎縮性絨毛と粘膜上皮内リンパ球の増加を示す腸管症様病変が認められた。腫瘍は中型の卵円形核を有する異型リンパ球の単調な増殖を示し,免疫組織化学では腫瘍細胞はCD3,CD8,CD56,TIA-1陽性であり,EBウイルス感染は認められなかった。

キーワード: intestine, malignant lymphoma, enteropathy-associated T-cell lymphoma, histology


A case of enteropathy-associated T-cell lymphoma with intramucosal proliferation

Kanta Kikuma, Kozue Yamada, Satoshi Nimura, and Morishige Takeshita

Department of Pathology, Faculty of Medicine, Fukuoka University

(論文受付 2012年9月18日)

(採用決定 2013年3月18日)