症例報告

虫垂子宮内膜症に伴う虫垂重積の1手術例

田原紳一郎¹　　　狛　雄一朗¹　　　梶本　和義¹　　　大林　千穂²　　　眞能　正幸³　　　佐久間淑子¹

（¹兵庫県立がんセンター病理診断科，²奈良県立医科大学病理診断学講座，³国立病院機構大阪医療センター臨床検査科）

要旨: 虫垂子宮内膜症に伴う完全型虫垂重積の1手術例を報告する。症例は37歳女性。下部内視鏡で盲腸部に径60mmの腫瘤を指摘され，腫瘍の可能性を否定出来ないことから，診断的治療として腹腔鏡下回盲部切除術が施行された。肉眼所見では上行結腸内腔に突出する腫瘤を認めた。組織学的には反転した虫垂で粘膜下層から固有筋層，脂肪織にかけて子宮内膜組織が散在性にみられた。以上より虫垂子宮内膜症が原因となって発症した虫垂重積と考えられた。

キーワード: appendix, appendiceal intussusception, endometriosis

A surgical case of appendiceal intussusception secondary to endometriosis

Shinichiro Tahara¹, Yu-ichiro Koma¹, Kazuyoshi Kajimoto¹, Chiho Ohbayashi², Masayuki Mano³, and Toshiko Sakuma¹

¹Department of Pathology, Hyogo Cancer Center
²Department of Diagnostic Pathology, Nara Medical University
³Department of Pathology, National Hospital Organization Osaka National Hospital

（論文受付　2012年9月7日）

（採用決定　2013年3月18日）