総説

子宮頸癌取扱い規約:病理学的事項の変遷

坂本　穆彦

（大森赤十字病院検査部）

要旨: 子宮頸癌取扱い規約は1987年に刊行された後，第2版（1997年），第3版（2012年）と版を重ね，今日に至っている。取扱い規約出版前の時代からの経過もふくめ，子宮頸癌診療で用いられてきた用語や定義の経時的変遷について概説する。例をあげると，異形成や上皮内癌（CIS）の概念は，子宮頸部上皮内腫瘍（CIN）へと移行した。また，微小浸潤の扱いについても時により変更が加えられてきた。これらからもわかる様に，用語や定義は必ずしも不変ではない。生命科学での新知見や診療の場における実践経験によってたえず検証の場に立たされている。今後もより妥当なものへの変容は求められつづけてゆくであろう。

キーワード: uterine cervix, cancer, terminology, definition, general rule

The general rules of clinical and pathological management of uterine cervical cancer:chronological metamorphoses of pathological terminology and definition

Atsuhiko Sakamoto, MD, FIAC

Department of Pathology and Laboratory Medicine, Omori Red Cross Hospital

（論文受付　2013年3月4日）

（採用決定　2013年3月26日）