症例報告

妊娠中に発症し高度のネフローゼを呈した急性糸球体腎炎の生検例

伏見聡一郎¹, ²　　　桑本　聡史^2,3　　　野坂　加苗^2,4　　　徳安　祐輔²　　　中本　　周²　　　上浦　　望⁵　　　尾田　高志⁶ 　　　城　　謙輔⁷　　　 松川　昭博¹

（¹岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病理学（第一·免疫），²鳥取県立中央病院病理診断科，³鳥取大学医学部分子病理学，⁴同　器官病理学，⁵神戸市立医療センター神戸中央市民病院腎臓内科，⁶防衛医科大学校腎臓内科，⁷仙台社会保険病院病理部）

要旨: 症例は妊娠中の20代女性。高度のネフローゼ症候群を呈し，腎生検が行われた。組織学的に糸球体の腫大と管内への炎症細胞浸潤を認めた。免疫染色では有意な所見は得られなかったが，組織化学的に糸球体でplasmin活性が認められ，溶連菌感染後急性糸球体腎炎と考えられた。本例の鑑別診断においてplasmin活性の酵素組織化学的所見が意義あると考えられた。文献的考察も加えて報告する。

キーワード: kidney, nephritic syndrome, acute poststreptococcal glomerulonephritis, preeclam psia, nephritis-associated plasmin receptor

A biopsy case of nephrotic syndrome due to acute glomerulonephritis during pregnancy

Soichiro Fushimi^1,2, Satoshi Kuwamoto^2,3, Kanae Nosaka^2,4, Yusuke Tokuyasu², Shu Nakamoto², Nozomu Kamiura⁵, Takashi Oda⁶, Kensuke Jo⁷, and Akihiro Matsukawa¹

（論文受付　2012年10月30日）

（採用決定　2013年1月23日）