症例報告

成人正常肝にみられた肝横紋筋肉腫の1切除例

梅田　幸希¹　　　原武　讓二²　　　植田　　茂³　　　野本　健一³　　　崎野　郁夫⁴

（¹済生会八幡総合病院臨床研修センター，²同　中央検査部病理，³同　外科，⁴同　放射線科）

要旨: 症例は70代の女性で，ネフローゼ症候群の観察中に偶然大型肝腫瘍が発見された。HBs抗原，抗HCV抗体ともに陰性であり，CTでは肝細胞癌より胆管細胞癌が考えられた。組織学的に，腫瘍は大小不同の目立つ紡錘形細胞の増殖からなり，広い好酸性細胞質を有する細胞の一部に明らかな横紋が観察された。免疫染色で，腫瘍細胞はびまん性にdesminが陽性，多数の細胞にmyogeninが陽性であった。上皮性成分は含まれず，横紋筋肉腫と診断された。肝横紋筋肉腫は，調査した日本病理剖検輯報の範囲内では，肝悪性腫瘍中0.01%とまれな腫瘍であり，文献的考察を含めて報告した。

キーワード: liver, rhabdomyosarcoma, pleomorphic type, non-B non-C normal liver, cross striation

A resected case of hepatic rhabdomyosarcoma in an adult normal liver

Koki Umeda¹, Joji Haratake², Shigeru Ueda³, Kenichi Nomoto³, and Ikuo Sakino⁴

¹Resident, Departments of ²Pathology, ³Surgery, and ⁴Radiology, Saiseikai Yahata General Hospital

（論文受付　2012年8月6日）

（採用決定　2012年10月19日）