症例報告

膀胱原発純粋型印環細胞癌の1例

内山　智子¹　　　村田　哲也¹　　　馬場洋一郎¹　　　荒瀬　栄樹²　　　鈴木　竜一²　　　荒木　富雄²

（¹JA三重厚生連鈴鹿中央総合病院病理診断科，²同　泌尿器科）

要旨: 症例は60代前半の男性である。左腰背部痛と下腹部痛を主訴に当院を受診した。腹部超音波検査·膀胱鏡·CT·MRI検査において，左水腎症と左尿管口から膀胱頸部·左後壁にかけて腫瘍性病変が指摘された。尿細胞診検査と経尿道的膀胱腫瘍切除術（以下，TUR-Bt）が施行され，印環細胞癌と診断された。全身検索の結果，他臓器に原発巣は認められず，稀な膀胱原発の印環細胞癌と診断された。膀胱·前立腺·尿道全摘術が施行された。術後，抗腫瘍多剤併用化学療法が行われたが，18ケ月後に全身多発骨転移をきたし死亡した。

キーワード: urinary bladder cancer, signet-ring cell carcinoma, histology, cytology

A case of pure type signet-ring cell carcinoma of the urinary bladder

Tomoko Uchiyama¹, Tetsuya Murata¹, Youichirou Baba¹, Shigeki Arase², Ryuichi Suzuki², and Tomio Araki²

Departments of ¹Pathology and ²Urology, JA Suzuka General Hospital

（論文受付　2012年8月6日）

（採用決定　2012年10月17日）