総　　説

Gastroenteropancreatic neuroendocrine tumor:GEP-NETの病理診断

笠島　敦子¹　　　Samaneh Yazdani²　　　笹野　公伸^1,2

（¹東北大学病院病理部，²東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野）

要旨: The surveillance, Epidemiology, and End Result （SEER）に登録された神経内分泌腫瘍 （neuroendocrine tumor:NET）の患者数をみると，1974年に人口10万人あたり1.09人であったのに対し，2004年には5.25人と30年間で約5倍に増加している^1）。このような急速なNET患者数の増加の背景には，NETが悪性化や転移を来たしうる腫瘍性疾患であるという正しい認識が医学界に広く普及したという社会的背景が挙げられる。近年では，生物学的特性の解明や分子標的療法の開発が急速に進み注目を集めている。特に，名称の変遷や新分類，およびソマトスタチンレセプター発現の評価など，NETの診断，治療と直結する重要事項の多くが，病理医に委ねられており，病理診断の果たす役割は極めて重要である。
　本稿では，gastroenteropancreatic neuroendocrine tumor:GEP-NETの診断の際に有用な臨床的事項とともに，病理診断に必要な近年の知見について解説する。

キーワード: gastroenteropancreatic neuroendocrine tumor, pathology

Pathology of gastroenteropancreatic neuroendocrine tumor:GEP-NET

Atsuko Kasajima¹, Samaneh Yazdani², and Hironobu Sasano^1,2

¹Department of Pathology, Tohoku University Hospital
²Department of Pathology, Tohoku University Graduate School of Medicine

（論文受付　2012年8月16日）

（採用決定　2012年9月11日）