症例報告

男性乳腺に発生した孤立性線維性腫瘍の1例

菊地　　淳¹　　　村岡　俊二¹　　　後藤田裕子¹　　　市原　　真¹　　　岩口　佳史¹　　　数馬　尚之²　　　長谷川　匡³

（¹JA北海道厚生連札幌厚生病院，²JA北海道厚生連倶知安厚生病院，³道立札幌医科大学付属病院病理部）

要旨: 孤立性線維性腫瘍 solitary fibrous tumor （SFT）は，全身のどの臓器にも発生する比較的まれな腫瘍であるが，男性乳腺に発生した例の報告はきわめて少ない。症例は40代後半男性。左乳頭直下の腫瘤を自覚し発見され，左乳腺部分切除が施行された。組織学的には，類円形で細胞境界が明瞭でない腫瘍細胞が，膠原線維の増生を伴い増殖する像を認めた。鋭角的に分枝した毛細血管の周囲に血管周皮腫様パターンを呈する像も認められた。免疫組織化学的にはCD34，bcl-2の発現が強く認められる一方，筋原性マーカーであるα-smooth mascle actin （α-SMA）等の発現が弱いことからSFTと診断した。

キーワード: breast, male, solitary fibrous tumor, myofibroblastoma

A case of solitary fibrous tumor arising from the male breast

Jun Kikuchi¹, Shunji Muraoka¹, Yuko Gotoda¹, Shin Ichihara¹, Takafumi Iwaguchi¹, Takayuki Kazuma², and Tadashi Hasegawa³

¹Department of Pathology, Hokkaido P.W.F.A.C Sapporo-Kosei General Hospital
²Department of Surgery, Hokkaido P.W.F.A.C Kutchan-Kosei General Hospital
³Department of Pathology, Sapporo Medical University

（論文受付　2012年4月16日）

（採用決定　2012年9月27日）