症例報告

胎児期に一過性骨髄異常増殖症を発症し胎児水腫にて死亡したと考えられた1例

岩村　隆二¹　　　松山　篤二²　　　吉村　和晃³　　　蜂須賀　徹³　　　久岡　正典²

（¹産業医科大学医学部医学科，²同　第1病理，³同　産婦人科）

要旨: 胎児期に一過性骨髄異常増殖症（transient abnormal myelopoiesis, TAM）を発症し，胎児水腫を合併して死亡したと考えられる1例を報告する。症例は胎齢27週6日で羊水過多に引き続く子宮内胎児死亡のために誘発分娩された女児で，高度の腔水症から胎児水腫とみなされ，胎盤も著しく腫大していた。巨核球を主体とする多彩な幼弱造血細胞が胎盤および胎児諸臓器の血管内に出現しており，染色体検査は行われていないため21トリソミーの確定はできなかったがTAMが示唆された。

キーワード: placenta, hydrops fetalis, transient abnormal myelopoiesis, trisomy 21

A fetal case of hydrops fetalis with transient abnormal myelopoiesis

Ryuji Iwamura¹, Atsuji Matsuyama², Kazuaki Yoshimura³, Toru Hachisuga³, and Masanori Hisaoka²

¹Faculty of Medicine, Departments of ²Pathology and Oncology, and ³Obstetrics and Gynecology, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health

（論文受付　2012年5月14日）

（採用決定　2012年9月7日）