症例報告

上顎に発生したMelanotic Neuroectodermal Tumor of Infancyの1例

西田　陽登¹　　　矢田　直美¹　　　川村　和弘²　　　荒金　茂樹¹　　　加島　健司¹　　　駄阿　　勉¹　　　田代　　舞²　　　高橋　喜浩²　　　河野　憲司²　　　横山　繁生¹

（¹大分大学医学部診断病理学講座，²同　歯科口腔外科学講座）

要旨: 症例は3ケ月男児。左上顎前歯部に増大傾向のある腫瘍がみられ，摘出術が施行された。摘出腫瘍は境界明瞭，弾性硬で，割面は充実性，黒色調であった。組織学的には，豊富な線維性間質を背景に腫瘍胞巣が認められた。腫瘍細胞は2相性パターンを示し，明澄な細胞質を有する小型細胞とメラニンを有する上皮様の大型細胞がみられた。免疫染色で小型細胞はsynaptophysinが陽性，上皮様大型細胞はAE1/3とHMB45が陽性であった。以上よりmelanotic neuroectodermal tumor of infancyと診断した。本腫瘍は急速に増大する腫瘍性病変として発見されることが多く悪性腫瘍と誤診しないことが重要である。

キーワード: maxilla, melanotic neuroectodermal tumor of infancy, immunohistochemistry

A case of melanotic neuroectodermal tumor of infancy of the maxilla

Haruto Nishida¹, Naomi Yada¹, Kazuhiro Kawamura², Motoki Arakane¹, Kenji Kashima¹, Tsutomu Daa¹, Mai Tashiro², Yoshihiro Takahashi², Kenji Kawano², and Shigeo Yokoyama¹

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ²Oral and Maxillofacial Surgery, Faculty of Medicine Oita University

（論文受付　2012年5月14日）

（採用決定　2012年7月24日）