症例報告

子宮内膜ポリープに合併したminimal uterine serous carcinomaの1例

立野　正敏¹　　　山口　辰美²　　　柳内　　充³　　　青木　直子⁴

（¹釧路赤十字病院病理診断科，²同　産婦人科，³市立札幌病院病理診断科， ⁴旭川医科大学病理学講座）

要旨: 70代女性の内膜に生じた微小内膜漿液性癌（Minimal uterine serous carcinoma:MUSC）の1例を報告する。腹水貯留による腹部膨満を主訴に来院，穿針吸引細胞診で明細胞癌が疑われた。両側付属器を含む子宮摘出術で内腔を充満する腫瘍があり，大半は良性の内膜ポリープであったが先端に乳頭状増殖を示す漿液性腺癌を認めた。間質浸潤は認めなかったが腹膜播種から癌性腹膜炎となり，術後1.5ケ月で死亡した。内膜ポリープに合併したMUSCの典型例で，特徴的な肉眼像を呈した。上皮内癌でありながら早期に腹膜播種を来たした機序などについて若干の文献的考察を加えて報告した。

キーワード: endometrium, serous carcinoma, polyp, intraepithelial carcinoma, p53

A case of minimal uterine serous carcinoma associated with endometrial polyp

Masatoshi Tateno¹, Tatsumi Yamaguchi², Mitsuru Yanai³, and Naoko Aoki⁴

Departments of ¹Pathology and ²Gynecology and Obstetrics, Kushiro Red Cross Hospital
³Department of Pathology, Sapporo City General Hospital
⁴Department of Pathology, Asahikawa Medical University

（論文受付　2012年5月 2日）

（採用決定　2012年7月17日）